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おおたみんなの家の園長ブログ

幼稚園と保育園の違いとは?

年長のそら組は、半年を残さず「学校教育」という節目を迎えるとても大切な時期です。いろいろな活動をとおして、就学の準備に取り組んでいきます。

さて、よく耳にする声として、保育園は遊ぶところ、幼稚園はお勉強するところ、といった話しがあります。保護者の皆様はどのようにお感じでしょうか。

実は現行の憲法、法律において、乳幼児はその成長や発達に応じて、等しく養護や教育を享受できる権利を保障されています。法律上では保育園も幼稚園もともに「3歳以上児には教育」を提供する義務があり、加えて保育園には「3歳未満児への養護」の提供が義務とされています。ここで言う「教育」とは学校教育を指し、保育園も幼稚園も学校教育に向けて集団的な学習態度や協調性、生活習慣の自立などを身につけることが求められ、「養護」とは子どもが生活習慣などを徐々に自立しておこなえるように保育者が援助することを指しています。この根拠となる法令として、保育園は「保育所保育指針」に、幼稚園は「幼稚園教育要領」にそれぞれ準拠すべきとされ、その内容はほぼ同一になっています。よって、幼稚園でも保育園でも、子どもたちは均しく教育を受ける権利が保障されているということになります。

しかし、学校に近いスクール形式などの形を整え、個別的かつ形式的な学びに重きを置いている傾向が強い幼稚園と、自由な雰囲気で楽しく遊びながら、集団的かつ体験的な学びに重きを置く傾向がある保育園とでは、やり方や環境の違いから保護者の方々が受ける印象も異なって見えるでしょう。保育園も幼稚園も長い年月、それぞれに独自の歴史を重ねてきたこともあり、教育の環境や方法論には違いがあります。

最近では、少子化の影響を受けた幼稚園が園児確保のために、3歳未満児(保育園の1~2歳クラス)から預かり保育をおこなうケースも増えて、平成27年度から変わるといわれる保育制度改革では、幼稚園と保育園が認定こども園という新たな施設に一元化される予定なので、両園の違いはますます無くなっていくでしょう。

法律では3歳以上児には教育、3歳未満児には養護を提供するとされていますが、人間の成長や発達を3歳以上と未満で区切ることはできません。幼・保の施設形態などに拘らず、連続する成長や発達とその個人差を考慮して、生まれて間もない生活全般を依存する存在から、体験によって徐々に自立し、やがて生活全般のすべてが自立できるように、またその自立に向けた成長や発達の過程で、さまざまな人間関係や科学的な不思議と出会って、協調する楽しさや学ぶ面白さなどを体験的に生活中で身につけられるように、養護と教育を一体的に提供すべきでしょう。

そして、子どもたちが愛されている実感によって自己肯定できるよう、大人も子どもたちと共に学び育っていきたいと思います。