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おおたみんなの家の園長ブログ

メンタルタフネス

引っ越してから初の投稿になります。今後、まめに更新しますので宜しくお願い致します。第1回目は、園だよりからの再掲です。

 

メンタルタフネス

 先日閉会したロンドンオリンピック、日本選手の活躍は素晴らしかったですね。「最近の若者は、精神的に弱い」などと言われますが、ロンドン五輪の選手たちの活躍をみると、そんな事はないと思いました。

 一昔前なら精神的なプレッシャーで実力を十分に発揮できずに負けてしまうこともあった場面で、例えば体操の内村選手やレスリングの吉田選手などたくさんの若い選手が、プレッシャーをはね除けて実力どおり、またはそれ以上の力を発揮しましたね。しかし、ストレスや挫折等で会社や学校に行けなくなるなど、メンタルタフネス(精神的な強さ)が弱い人も増えていることは確かです。

 メンタルタフネスは乳幼児期からの体験の積み重ねによって左右されるといわれています。つらいこと、苦しいことを乗り越え、失敗しても恐れずに何度もチャレンジするなどの体験によってメンタルは鍛えられますから、過保護にストレスなく育てば、メンタルタフネスの弱い大人に育つかもしれません。オリンピック選手などは、幼い頃からスポーツを通して苦しい体験やチャレンジ、失敗や挫折も山ほどして、大舞台でも臆することのない強い精神力を手に入れたのでしょう。

 私たち親が子どもの頃は今のような利便性はなく、幼いうちから自立や自律を求められ、成長するにつれ知恵を使った創意工夫や試行錯誤をせざるを得ませんでした。よって、今でいう苦労や失敗、ストレスや挫折などは当たり前に体験してきました。 「若い時の苦労は買ってでもしろ!」と親が怒鳴っていたのは、利便性向上に伴う精神的弱化を見越した知恵や警告だったのかもしれません。

 メンタルタフネスを育てるためには、子どもが直面する苦しい体験や失敗などを親が取り除くのではなく、子どもが転んでもすぐには手を差し伸べずに自分で立上るまで見守り、励まし、何度もチャレンジと失敗を繰り返す子どもを精神的に支えるという過程こそが重要なのではないでしょうか。

 これらの行為や過程は時間がかかり、大人は心配や失敗させたくない愛情、忙しさからつい口や手を出したくなりますが、私たちが育った過程と何ら変わりない子どもの姿が、今もそこにあるのです。私たちの子ども時代と同じように、大人はぜひ転ばぬ先の杖を出さずに見守り、待って、彼らの体験を保障してあげたいですね。

 事故や大きな怪我、事件などを防ぐための配慮は十分に必要ですが、大人が心配だからと言って必要以上に危険や体験の機会を排除すると、子どもは体験することでしか学べない自分の身を守る術や予見力、失敗や挫折から再起するメンタルタフネスを身につける機会を失います。本人にどうすればよいかを考えさせるために、適切に安全を守る術や状況の判断を親子で話し合ったり、気づくヒントを与えたりしながら子どものチャレンジを見守り、できたときには大いに誉めて、自己肯定感やメンタルタフネスを育てたいですね。