おおたみんなの家

おおたみんなの家の園長ブログ

年度の変わり目

 いよいよ3月末になり、新しい年度が始まりますね。今年は3月31日が日曜日で、ある意味で年度の区切りを感じやすいかもしれません。

 それぞれのクラスの子どもたちが、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)になるんだよ」などと進級する喜びを口にしています。小さな1歳児のクラスでも、「〇〇はお姉たんなのよ」と可愛らしい自己主張を見せてくれます。

 しかし一方で、そういった変化が気持ちの不安定さにつながる子どももいます。

 私たち親や大人は、励ましや促しのつもりで「お兄ちゃん(お姉ちゃん)になるんだから〇〇しなきゃね!」などの言葉をかけると、プレッシャーを感じて逆にできなくなったり、あまのじゃくになったりする子どももいるようです。弟妹が生まれたばかりの家庭で、子どもに「ぼく(わたし)だってパパやママに甘えたい」という思いが募っているところに「お兄ちゃん(お姉ちゃん)だから」と言うと、逆に赤ちゃん返りをすることがあります。

 また、当園では「にじ組(満3歳)」から3~5歳の異年齢混合で生活しますが、保育園できょうだいのように過ごしてきて、園の中で年長児を頼ったり甘えたりしながら生活してきた年中以下の子どもは、年長児が卒園して居なくなってしまうという変化が、寂しさや不安につながることもあるようです。

 こういった子どもの心理変化は、人間として当たり前の心理変化であり、子どもが状況や環境の変化を把握する能力や、感じて表現する能力が身についてきたという発達や成長の一面です。そして、このような心理を自分の力で何とか乗り越えたり、消化したりすることで精神的にたくましく育っていきます。

 このようなときに、大人が安易に不安要因を取り除いてあげたり、感情移入して親の心配を子どもに伝えたりすることは、ときに子どもの発達や成長を妨げてしまう場合があると心得ましょう。子どもの気持ちをしっかりじっくり聴いてあげたり、まだ言葉が未熟ならば、表情や行動から子どもの心理を把握して抱いてあげたりするなど、子ども自身が「大丈夫」と思い直し、自分で自身の気持ちを立て直していけるように、子どもの不安定な気持ちに親や大人が寄り添うことが大切でしょう。

 私たち大人も不安や寂しさを感じている時に、信頼できる人に自分の気持ちを優しく聴いてもらえると、気持ちが軽くなったり落ち着いたりできますよね。そういう私たち大人が持っている能力が、子どもにも身につき始めたところです。ここから長い時間(思春期以降)をかけて、自分で自分の気持ちや感情をコントロールできるようになっていきます。じっくりしっかり、子どもの声や表情に耳や目を向けながら、子ども自身の「気持ちを立て直すちから」を育てていきたいですね。